遺族(補償)給付

1遺族(補償)給付とは

遺族(補償)給付とは、業務中の事故が原因で亡くなった場合や通勤途中の事故などにより亡くなってしまった場合に、その労働者の遺族に対して支給されるものです。遺族(補償)給付には、遺族補償年金、遺族補償一時金、遺族特別年金、遺族特別維持金、遺族特別支給金などがあります。

2遺族補償年金の受給条件

遺族(補償)年金を受給するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • ①被災労働者が死亡した当時、その収入によって生計を維持していた(生計維持関係)
  • ②被災労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であること(受給資格・受給権者)
  • ③②について、配偶者以外は年齢要件を満たしていること(年齢要件)
  • (1)生計維持関係
    生計維持関係は、遺族が被災労働者と実際に同居していれば、基本的に生計維持関係が認められます。この場合の同居とは、住民票等の書類上のことではなく、現実として同居状態にあったかが重要になります。
    もっとも、被災労働者と別居している場合でも、遺族と被災労働者との間で生活費・治療費など経済的援助がなされていた事情や、定期的に訪問・連絡があったという事情があると、生活維持関係の認定がなされることがあります。
    生計維持関係には、被災労働者の収入で生計の一部を維持指定いれば足り、主として被災労働者の収入で生計を維持していたことは要求されません。
  • (2)受給資格・受給権者
    配偶者には、実際に同居して生計維持関係があれば、内縁関係も含まれます。
    被災労働者が法律上の配偶者と別に、内縁の配偶者と重婚的内縁関係にあった場合、重婚的内縁配偶者は原則として受給権者にはなりません。もっとも、法律婚がすでに形骸化していて実態を失っているような場合、実質的に法律上の離婚があったと同視できるような状況にあれば、重婚的内縁配偶者が受給権者となることもあります。
  • (3)年齢要件及び優先関係
    遺族(補償)年金については、配偶者以外の者の場合について、一定の年齢であることが要求されています。また、受給資格を有する者が複数存在する場合、以下の順番で優先して受給者が決まり、受給資格者の全員が受給権者になるわけではありません。
    • ①妻→年齢要件なし、夫→60歳以上または一定の障害の状態にあること
    • ②子→18歳までの間または一定の障害の状態にあること
    • ③父母→60歳以上または一定の障害のあること
    • ④孫→18歳までの間または一定の障害の状態にあること
    • ⑤祖父母→60歳以上または一定の障害の状態にあること
    • ⑥兄弟姉妹→60歳以上または一定の障害の状態にある場合
    • ⑦夫→55歳以上60歳未満
    • ⑧父母→55歳以上60歳未満
    • ⑨祖父母→55歳以上60歳未満
    • ⑩兄弟姉妹→55歳以上60歳未満
      なお、受給権者が亡くなった場合や、結婚などの理由により受給権者では亡くなった場合、受給資格者のうち、次の順位の遺族が繰り上がって受給権者となり、支給を受けることができるようになります。
  • (4)支給内容
    下記の図のように、遺族の人数に応じて年金が支給されます。また、遺族の人数にかかわらず、一時金として特別支給金300万円が支給されます。

遺族の人数 遺族(補償)年金 遺族特別年金
1人 給付基礎日数153日分 算定基礎日額153日分
2人 給付基礎日額201日分 算定基礎日額201日分
3人 給付基礎日額223日分 算定基礎日額223日分
4人以上 給付基礎日額245日分 算定基礎日額245日分

なお、例外として、遺族の人数が1人で、受給権者が55歳以上の妻又は一定の障害の状態にある場合は、175日分が支給されます。

3 遺族(補償)一時金の受給条件

  • (1)遺族一時金の性質
    遺族一時金は、上記の遺族年金において受給資格者がいない場合に、これらの者をまとめて保護するために支給されるものです。また、遺族補償給付を計算した結果、一定の基準以下の保険給付にしかならなかった場合に、より総額の大きくなる一時金の方を受給することになります。受給資格は以下の通りです。
  • (2)受給資格
    受給資格は以下の通りです。
    • ①労働者の死亡当時、遺族(補償)年金の受給資格者がいない場合
    • ②受給権者が失権した場合で、外に年金の受給権者がなく、かつ、すでに支給された年金総額が給付基礎日額の1000日分に満たない場合
  • (3)優先順位
    一時金についても、遺族年金同様受給資格者に以下の優先順位があります。
    • ①配偶者
    • ②労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していた子、父母、孫、祖父、母
    • ③その他の子、父母、孫、祖父母
    • ④兄弟姉妹
  • (4)支給内容
    支給内容は下記の通りとなります。

  遺族(補償)一時金 遺族特別年金 遺族特別一時金
受給資格者がいない 給付基礎日額1000日分 算定基礎日額1000日分 300万円
1000日に満たない 1000日分-既支給分 1000日分-既支給分 支給済み