被保険者とは

1 労災保険の被保険者とは誰を指すのか

労災保険の被保険者(受給者)は、原則として、すべての労働者がこれに含まれることとなります。したがって、正規雇用・非正規雇用の区別や、パート・アルバイトといった区分に関係なく、また就業の時間、日数、期間を問わずに、労働者と認められれば労災保険の被保険者となります。また、労働者からの労災保険への事前の加入申し込みは不要です。労災保険は強制加入とされており、労働者・使用者の申し込みがなくとも当然に加入していることとなるためです。
「労働者」にあたるか否かは、①会社から賃金の支払いを受けているかどうか、②使用従属関係にあるかどうかの基準から判断されます。

2 使用者が保険料を支払っていない場合はどうなるか

上記のように「労働者」に該当すれば、労災保険の被保険者ということになります。しかしながら、使用者側が保険料を支払っていない場合でも、補償を受給することができるのでしょうか。
 結論から述べると、使用者側が保険料を支払っていなくとも「労働者」は補償を受給することができます。使用者の落ち度で労働者の権利が害されるようなことがあってはならないからです。

3 例外

もっとも、労災保険の被保険者にあたらないとされる例外もあります。
まず、労働関係にある会社の代表取締役は原則として被保険者にあたりません(ただし代表権がなく部長などの職になって賃金を受ける側に立つ場合には被保険者となります。)。また、個人事業主にあたる場合も被保険者に該当しません。さらに、事業主の配偶者、親子、兄弟姉妹等の親族関係にある者が事業主と生計をともにしている場合にも、被保険者とみなされないことになります。

4 特別加入制度の例外

上記のように、被保険者といえるためには、「労働者」であることが必要で、この「労働者」にあたらない者は原則として被保険者にあたりません。
もっとも、労働者と見なされない者であっても、例外的に被保険者と同等の扱いを受けることができる場合があります。それが特別加入制度です。特別加入制度には、下記の3種類があります。

(1)第一種特別加入者
第一種特別加入者は、中小企業の代表者及びその家族従事者、その会社の役員となります。この場合の中小企業とは、業種により規模が異なります。具体的には以下の通りです。
金融業・保険業・不動産業・小売業・・・50人以下
卸売業・サービス業・・・100人以下
その他の事業・・・300人以下

そして、これらの者が特別加入をするためには、以下の要件を満たす必要があります。
ア. その者の事業所が労災保険に加入していて、労働保険事務組合に労働保険事務を委託していること
イ. 家族従事者も含めて加入すること

(2)第二種特別加入者

第二種特別加入者は、1人親方や特定作業従業者の2種類となります。
これらの者が特別加入をするためには、以下の要件を満たしていることが必要です。
ア. 1人親方の場合も特定事業従業員の場合も所属団体が特別加入の商人を受けていること
イ. 家族従事者も含めて加入していること

(3)第三種特別加入者

第三者特別加入者は、海外に派遣されている労働者などを対象としています。
海外派遣されている労働者が第三者特別加入者に該当するためには、以下の要件を満たす必要があります。
ア. 派遣元の国内の事業について、労災の保険関係が成立していること
イ. 派遣元の国内の事業が有期事業(一定の期間内に終了する事業のこと)であること

5 被保険者と認められたら

被保険者と認められる場合であっても、すべての場合で労災認定が受けられるわけではありません。労働災害に該当すると認められて初めて補償を受給することができるため、労働災害の該当性が問題になります。
労働災害認定の判断方法は、こちらを参照してください。