後遺障害認定|神経系統

神経系統の機能又は精神障害

神経系統の機能又は精神の障害は、①脳の障害、②脊髄の障害、③末梢神経障害、④その他特徴的障害(外傷性てんかん、頭痛、めまい及び平行機能障害等)に分かれます。
また、①脳の障害については、ⅰ脳機能障害(高次脳機能障害、身体性機能障害)、ⅱ非器質性精神障害に分かれます。
神経系統の機能又は精神障害 <後遺障害別等級表・労働能力喪失表・慰謝料表>

神経系統の機能又は精神の後遺障害については、以下のように8段階で規定されています。

(別表1)重度後遺障害
等級 後遺障害 労働能力喪失率 慰謝料額
:裁判基準
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの(*1) 100/100 2,800万円
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(*2) 100/100 2,800万円
(別表2)
等級 後遺障害 労働能力喪失率 慰謝料額
:裁判基準
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの(*3) 100/100 1,990万円
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないの(*4) 79/100 1,400万円
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの(*5) 56/100 1,000万円
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの(*6) 35/100 690万円
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの(*7) 14/100 224万円
14級9号 局部に神経症状を残すもの(*8) 5/100 110万円
(*1):「生命維持に必要な身のまわり処理の動作について常時介護を要するもの」が認定基準となります。
(*2):「生命維持に必要な身のまわり処理の動作について随時介護を要するもの」が認定基準となります。
(*3):「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、労務に服することができないもの」が認定基準となります。
(*4):「極めて軽易な労務にしか服することができないもの」が認定基準となります。
(*5):「軽易な労務にしか服することができないもの」が認定基準となります。
(*6):「通常の労務に服することはできるが、就労可能な職種が相当程度に制約されるもの」が認定基準となります。
(*7):「通常の労務に服することはでき、職種制限も認められないが、時には労務に支障が生じる場合があるもの」が認定基準となります。
(*8):「第12級よりも軽度のもの」が認定基準となります。

脳の障害

脳は、大脳・小脳・脳幹に分かれます。
脳幹は、間脳・中脳・橋・延髄で構成され、生命維持機能を有しています。また、大脳の外側面は前頭葉・頭頂葉・後頭葉・側頭葉に分かれます。

脳の器質性障害

脳の機能障害には、高次脳機能障害と身体性機能障害がありますが、自賠責保険では、両者を分けず、それらの障害による就労制限や日常生活制限の程度に応じて総合的に等級評価を行います。

高次脳機能障害とは、

脳外傷による高次脳機能障害は、自動車事故などで脳が損傷され、一定期間以上、意識が障害された場合などに起こりやすいとされます。
記憶・記銘力障害、集中力障害、遂行機能障害、判断力低下等の認知障害と、感情易変、不機嫌、攻撃性、暴言・暴力、幼稚、差恥心の低下、多弁(健舌)、自発性・活動性の低下、嫉妬、被害妄想等の人格変化を典型的な症状とします。また、半身の運動麻痔や起立・歩行の不安定などの身体症状を伴うこともあります。

(別表1)重度後遺障害
等級 後遺障害 労働能力喪失率 慰謝料額
:裁判基準
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの(*1) 100/100 2,800万円
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(*2) 100/100 2,800万円
(別表2)
等級 後遺障害 労働能力喪失率 慰謝料額
:裁判基準
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの(*3) 100/100 1,990万円
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないの(*4) 79/100 1,400万円
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの(*5) 56/100 1,000万円
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの(*6) 35/100 690万円
(*1):「身体機能は残存しているが高度の痴ほうがあるために、生活維持に必要な身のまわり動作に全面的介護を要するもの」もこれに当たります。
(*2):「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって、1人で外出することができず、日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」がこれに当たります。
(*3):「自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの」がこれに当たります。
(*4):「単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの」がこれに当たります。
(*5):「一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの」がこれに当たります。
(*6):「一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの」がこれに当たります。
身体性機能障害

身体性機能障害に関しては、麻痺の範囲(四肢麻痺、片麻痺、単麻痺)およびその程度(高度、中等度、軽度、軽微)ならびに介護の有無およびその程度により障害等級が認定されます。

非器質性機能障害

非器質性精神障害とは、脳の器質的損傷を伴わない精神障害です。
具体的症状としては、抑うつ状態、不安の状態、意欲低下の状態、慢性化した幻覚・妄想性の状態、記憶または知的能力の障害、その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)があります。

脊髄の障害

脊髄は、脳の最下部にある延髄の下に続いている棒状の神経細胞と神経線維の束で、脊柱の管の中にあります。
脊髄の障害等は、脳の身体性機能障害と同じく、麻痺の範囲(四肢麻痺、対麻痺、単麻痺)とその程度(高度、中等度、軽度、軽微)により7段階で判断されます

(別表1)重度後遺障害
等級 後遺障害 労働能力喪失率 慰謝料額
:裁判基準
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの(*1) 100/100 2,800万円
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの(*2) 100/100 2,800万円
(別表2)
等級 後遺障害 労働能力喪失率 慰謝料額
:裁判基準
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの(*3) 100/100 1,990万円
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないの(*4) 79/100 1,400万円
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの(*5) 56/100 1,000万円
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの(*6) 35/100 690万円
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの(*7) 14/100 290万円
(*1):「脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」に当たるような場合です。
原則として、以下のものが該当します。
① 高度の四肢麻痔が詠められるもの
② 高度の対麻痔が認められるもの
③ 中等度の四肢麻痔であって、食事・入浴・用便更衣等について常時介護を要するもの
④ 中等度の対麻痔であって、食事・入浴・用便更衣等について常時介護を要するもの
(*2):「脊髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」に当たるような場合です。原則として、以下のものが該当します。
① 中等度の四肢麻痔が認められるもの
② 軽度の四肢麻痔であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
③ 中等度の対麻痔であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの
(*3):「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、脊髄症状のために労務に服することができないもの」に当たるような場合です。原則として、以下のものがこれに該当します。
① 軽度の四肢麻痺が認められるもの(別表第-第2級に該当するものを除く)
② 中等度の対麻痺が認められるもの(別表第一第1級または別表第一第2級に該当するものを除く)
(*4):「脊髄症状のため、きわめて軽易な労務のほかに服することができないもの」原則として、以下のものがこれに該当します。
① 軽度の対麻痺が認められるもの
② 下肢の高度の単麻痺が認められるもの
(*5):「通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」です。原則として、下肢の軽度の単麻痔が認められるものがこれに該当します。
(*6):「脊髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの」です。

原則として、下肢の中等度の単麻痔が認められるものがこれに該当します。
(*7):「通常の労務に服することはできるが、脊髄症状のため、多少の障害を残すもの」です。運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すものが当たります。また、運動障害が認められなくても、広範囲の感覚障害が認められるものの、これに当たります。

末梢神経障害

末梢神経は、中枢神経すなわち脳と脊髄から出る神経をいい、脳脊髄神経と自律神経に分けられます。
末梢神経麻痺に係る等級の認定は、原則として、損傷を受けた神経の支配する身体各部の器官における機能障害に係る等級が適用されます。

視神経→視力障害
聴神経→視力障害
脊髄神経→上肢・下肢の機能障害

その他の特徴的障害

その他特徴的障害には、①外傷性てんかん、②頭痛、③失調・めまい及び平衡機能障害、④疼痛等感覚障害があります。

外傷性てんかん

外傷性てんかんとは、脳の損傷によりてんかん発作を起こすものです。
てんかんの等級の認定は、発作の型、発作回数等に着目し、以下の基準により認定します。

等級 後遺障害 労働能力喪失率 慰謝料額
:裁判基準
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないの(*1) 79/100 1,400万円
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの(*2) 56/100 1,000万円
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することのできる労務が相当な程度に制限されるもの(*3) 35/100 690万円
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの(*4) 20/100 420万円
(*1):「1ケ月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が『意識障害の有無を問わず転倒する発作』または『意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作』であるもの」に当たるような場合です。
(*2):「転倒する発作等が数ヶ月に1回以上あるもの、または転倒する発作等以外の発作が1ケ月に1回以上あるもの」に当たるような場合です。
(*3):「数ヶ月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの、または服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの」に当たるような場合です。
(*4):「発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性疎波を認めるもの」に当たるような場合です。

疼痛等感覚障害

受傷部位の疼痛については、その原因となる他覚的所見が認められるものは第12級、それよりも軽度のものは第14級を認定します。