後遺障害と症状固定

そもそも後遺障害とは何か

労災保険は,障害補償を対象としたものです。その「労働災害障害等級認定基準」 (以下「認定基準」といいます。)は,障害補償の意義として,以下のように定めています。

「障害補償は,障害による労働能力の喪失に対する損失てん補を目的とするものと定義し,障害補償の対象乞負傷または疾病(以下「傷病」という。)がなおったときに残存する,当該傷病と相当因果関係を有し,かつ,将来においても回復が困難と見込まれる精神的または肉体的な致損状態(以下「廃疾」という)であって,その存在が医学的に認められ,労働能力の喪失を伴うもの)」

この定義を分析すると、労災の障害補償の対象となる後遺障害というのは、以下の4つの要件を満たしているものということになります。
 ①事故との相当因果関係を有すること
 ②回復が困難と見込まれること
 ③その存在が医学的に認められること
 ④労働能力の喪失を伴うこと

後遺障害と症状固定

労働災害による負傷や疾病が「治ったとき」に、身体に障害が残った場合、その障害を後遺障害といいます。そして、後遺障害が(厚生労働省令で定められている)障害等級に該当すると認定されたときは、障害(補償)給付が支給されます。

ここでいう「治ったとき」とは、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行ってもその医療効果が期待できなくなったときをいい(つまり完治を意味しません)、これを症状固定といいます。

症状固定が認められると、原則としてその後の治療費は労災保険からは支給されません。治療の効果がない以上、治療の必要性が認められないためです。ただし、この場合には、前述のように障害(補償)給付が支給され逸失利益の補填が行われることとなります。

この症状固定の判断は基本的に主治医が行います。

しかし、症状固定がなされるまでは治療費がもらえるとはいえ、単純に症状固定がされない方が有利に働くとはいえないため、安易に症状固定を先延ばしにしようとするのはお勧めできません。

部位別後遺障害認定基準

上記のように、症状固定の判断は原則として主治医が行いますが、当該主治医の判断を踏まえて、後遺障害等級の認定は行われます。とはいえ、主治医に判断してもらうまで一切の見通しが立たないというのでは、とりわけ労災の被害に遭われた方にとって不便です。

そこで、部位別に後遺障害と認定される基準を以下では解説させていただきます。